小矯正(MTM)の特徴~小さな矯正で最大限の効果を~
小矯正(MTM)をご存知ですか?
小矯正は動かす歯を1本(多くても2本)に絞り、インプラントやブリッジなど補綴治療の為の前処置や、歯周炎の治療に効果を発揮します。
「傾いた歯をまっすぐにして顎の骨を増やす」ことや「埋まっている歯を引っ張り出す」など、小さな矯正範囲で最大限の効果を得ることのできる治療方法です。
歯を動かす仕組み
小矯正ではこのような方法で歯を移動させています。
- 歯槽骨
- 歯を支えているあごの骨です。
- 歯根膜
- 歯と歯槽骨を結びつける繊維の束です。歯槽膜の中にある「骨芽細胞(こつがさいぼう)」は新しい細胞を生み出して、あごの骨を修復します。
- 骨が作られるしくみ
- 矯正装置によって、歯が圧迫されると、圧迫された側が骨を食べる「破骨細胞(はこつさいぼう)」によってなくなります。一方で、反対側にはスペースができ、骨芽細胞によって新しい骨が生み出され、このスペースが埋められます。
- 歯が移動する
- こうしたサイクルを繰り返し、歯は移動していきます。骨芽細胞を作り出す、歯槽膜が健康な状態であれば、矯正は何歳になっても可能です。
小矯正(MTM)の方法~主に2つの方法があります~
小矯正には治療目的によって、さまざまな歯の移動方法があります。
主な方法として…
- 引っ張り出す(挺出)
- 傾いた歯を起こす(整直)
この2つの方法が主です。
その他の方法としては…
- 歯を移動させる
- 回転させる
- 引っ込める(圧下)
治療目的に最適な小矯正を患者様にご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。
引っ張り出し(挺出)による治療例
歯周炎などで歯を支えるあごの骨(歯槽骨)が失われてしまい、歯がグラグラした状態。この状態だと、食べ物を噛むことができません。
小矯正で歯を引っ張り出し、歯槽骨を増やして歯を安定させて、ブリッジがかけられるようにする治療例です。
- グラグラしている歯に矯正装置を付けて引っ張り上げます。
- 引っ張り上げた後の状態です。上に移動した歯の周りに新たな歯槽骨が出来ています。
- 歯槽骨が増え、安定したところで、ブリッジをかけることが出来ました。
お子様の歯が乳歯から永久歯に抜け替わるときに、永久歯があごの骨のなかでナナメに向いている、生え出てくるスペースがなく引っかかっている・・・などの場合にも小矯正は効果的です。
- 骨の中の永久歯が横を向いています。このままでは、生えて来ることができません。
- そこで、永久歯にボタンを付けて引っ張り出します。
- 他の永久歯と同様に、きれいに生えることができました。歯根も健康な状態です。
傾いた歯を起こす(整直)による治療例
歯を失ったまま放置すると、隣の歯が傾いてしまい、治療のためのスペースがない場合があります。そのようなケースの場合、治療の前処置として、小矯正を行い、治療のためのスペースを確保します。
傾いた歯を起こして、インプラント治療を行った治療例です。
- 歯を失ったままにしておくと、隣の歯が傾いてしまいよく噛めません。
- まず、歯に矯正装置を付けて、倒れた歯を起こしてあげます。
- 小矯正によってできたスペースにインプラントが入りました。
歯周炎は歯周病の一種で、歯肉が腫れる歯肉炎の症状が進行した状態です。歯周組織の炎症が進行し、歯槽骨が溶けだして、歯がグラグラになります。
小矯正によって、歯の傾きを治し、歯槽骨が再生した治療例です。
- 歯周炎により歯槽骨が溶けだして、歯が倒れてきました。このまま放置すると、更に炎症が進行し、周囲の歯も失ってしまう恐れがあります。
- まず、歯に矯正装置を付けて、倒れた歯を起こしてあげます。
- 歯を移動させることで、歯槽膜も一緒に動き、新しい歯槽骨が作られます。
- 歯を最適な位置に移動し、インプラントが入りました。